着物のマナーを調べていると、「縁起が悪い柄に注意」といった助言をよく見かけます。実際に、発売されている着物の柄で、縁起が悪いと言われるものはあるのでしょうか。今回は、縁起が悪いとされている柄とその意味、着ていくのに注意したいシーンを併せて解説します。

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縁起が悪いと言われる柄

縁起が悪いとされるのは、どんな柄なのでしょうか。ここでは、代表的なものをご紹介します。

桜

桜は日本の国花で、お祝いにも適していると思われがちですがその生態をなぞらえると縁起が悪いとされています。桜は咲いてから、数日しか持たずにすぐ散ってしまう花です。そのため「出世しない」「先が短い」など、未来に対してネガティブなイメージを持たれてしまいます。

椿

椿は縁起が悪い・怖いという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。その由来は、椿の花の散りかたです。花びらが散っていく他の花とは違い、椿は花が丸ごとぽとりと落ちます。そのさまが「首が落ちるようだ」とされ、江戸時代の武士たちは「打ち首」を連想していました。その考えが現代にも伝わって、縁起が悪いとされています。

下り藤

下り藤は、上を向かずに下に下がったまま咲き続けるため「運気が下がる」「運気が上がらない」といった、イメージを持たれてしまいます。特に実写のようにリアルに描かれた藤は、そのイメージをさらに強くするために避けたほうが良いでしょう。

梅

梅も桜同様に、咲いてから散るまでが短い花です。また、梅が散るさまは「こぼれる」と表現されるため「運がこぼれてしまう」「幸せが無くなってしまう」といったネガティブな連想に結び付き、縁起が悪いとされています。

蝶

蝶は短命な生き物のため、お祝いごとにはふさわしくないとされています。さらに、花から花へ飛んでいく様子がきまぐれで、落ち着きのなさも特徴。そのため結婚式など縁を結ぶ祝い事では、幸せが長く続かないイメージがあり、縁起が悪いとされているのです。

縁起が悪い柄は着てはいけないの？

縁起が悪いとされている柄でも、着ても全く問題なしです。むしろ、本当に縁起が悪いのなら柄として発売はされません。また、縁起が悪いとして挙げた柄も、花言葉にはプラスの意味が含まれているなど必ずしも悪いとは限らないのです。ただ、マナーやしきたりにこだわる方がいる場では、指摘される可能性があるため避けたほうが無難でしょう。

着る柄を意識するべき場所

本来、本当に縁起が悪い柄はないとはいえ、トラブルを避けるためにも着ていくときには配慮すべきシーンがあります。ここでは、縁起が悪いとされている柄を避けたほうがいい場所をご紹介します。

お祝いごとの席

結婚式は、高齢の人が参加することも多い行事です。なかには、縁起物の意味に強いこだわりを持つ人もいるかもしれません。そうした人を不快にさせたり、指摘されて揉め事になってしまっては、せっかくのお祝いも台無しです。そのため、昔から祝い事には縁起が良くないとされる柄は、できるだけ避けるようにしましょう。

格式の高いパーティー

格式の高いパーティーも、結婚式同様に縁起物へのこだわりを持った人が参加している可能性があります。また、縁起が悪いといわれる柄を着た自分に同行者がいる場合、その人まで悪く言われる可能性もあります。カジュアルな集まりでない限り、縁起が悪いとされている柄は避けましょう。

お稽古ごと

お稽古ごとの先生は、風習を重んじてマナーに厳しい人も多くいます。そのため、縁起が悪いとされている柄を身に付けていると、注意を受ける可能性があります。機会があれば、初回のお稽古の前に着物の柄について、先生の見解を聞ける機会を持つようにすると良いでしょう。

着物の柄はシーンによって縁起の悪い印象になるため注意しよう

本来、着物の柄に「これは絶対ダメ！」というものは無いのですが、着ていくシーンによっては縁起が悪いと感じる人も一定数います。そのため、参加する場所によっては、一般的に縁起が悪いと言われてしまう柄は避けていくように配慮し、トラブルにならないように気を付けましょう。